プロなら知っておけ!お客様が納得する子供部屋のヒアリング術
- 純 小池
- 3月4日
- 読了時間: 4分
子供部屋は、住宅設計において重要な要素の一つですが、多くの建築主が「子供のためにできるだけ広くしたい」と考えがちです。
しかし、建築のプロとしては、単に希望を鵜呑みにするのではなく、将来的な使い方やコストとのバランスを考慮し、適切な提案を行うことが求められます。
本記事では、子供部屋の設計において建築のプロが考えるべきポイントを整理し、お客様への適切なヒアリング方法と提案の仕方について解説します。
1. 子供部屋の広さを決める心理的要因
お客様が子供部屋の広さを決める際には、大きく分けて以下の2つの心理的な影響を受けています。
① バンドワゴン効果(周囲と同じなら安心)
「他の家が6畳だから、うちも6畳にする」「住宅雑誌やインターネットで見た間取りが8畳だったから、8畳がいい」というように、他人の選択に影響される心理状態です。
多くのお客様は、深く考えずに「一般的なサイズ」で決めてしまいます。
② プロスペクト理論(失敗したくない心理)
YouTubeやブログなどで「失敗した間取り」「後悔ポイント」などの情報が多く出回ることで、「8畳にしなかったら後悔するかもしれない」という不安を抱えてしまうケースです。
→ 建築のプロとしての役割
単に「子供部屋を何畳にするか」ではなく、「本当にその広さが必要なのか?」をお客様自身に考えてもらうようなヒアリングを行いましょう。
2. ヒアリングの重要性:お客様に考えてもらう2つの質問
お客様の希望を聞くだけでなく、「なぜその広さが必要なのか?」を考えさせる質問をすることが重要です。
具体的には、以下の2つの視点をお客様に問いかけてみてください。
① 小さな頃から自立して育てたい派
海外のように、小さい頃からプライベートな空間を与えて自立を促したい
友人を招いて自由に過ごせるような部屋にしたい
ソファや勉強スペースなども含め、リビングのようにくつろげる部屋にしたい
② 子供はいつか巣立つ派
将来的には家を出るので、最小限のスペースで問題ない
収納やベッド、勉強机が置ける4.5畳~6畳程度のスペースがあれば十分
将来的に夫婦の趣味部屋や、親と同居するための部屋として活用したい
このように選択肢を提示することで、「とりあえず広くしたい」と思っていたお客様が、将来のライフスタイルを考慮しながら間取りを検討できるようになります。
3. 子供部屋の使用期間を考慮する
一般的に、子供部屋が使用される期間は約10~15年です。
小学生低学年(8~10歳):自分の部屋を持ちたいと言い出す
高校卒業(18歳)~大学卒業(22歳):進学・就職で家を出る
結婚・独立(25歳~):実家を離れるケースが多い
→ つまり、子供が家を出た後の使い道も考えた設計が必要
4. 将来的な使い方を考慮した設計の工夫
① 子供が巣立った後の活用方法
夫婦の寝室を分ける(ライフスタイルの変化に対応)
夫婦それぞれの趣味部屋として活用(読書・楽器・アトリエなど)
親と同居する際の部屋に転用
② 変化できる子供部屋
最初から仕切らずに、必要になったら壁を作れるようにする。
子供が小さいうちは大きな一部屋(家族で寝るスペース)
子供が成長したら壁を追加して個室にする
子供が独立したら、壁を外して広い部屋に戻す
5. 子供部屋の適切な設置場所とは?
① 音の影響を考慮する
NGな配置:子供部屋の上に浴室やトイレを配置する
深夜に家族が入浴すると、子供の睡眠を妨げる可能性がある
② コミュニケーションの促進
LDKを通らないと子供部屋に行けない動線
玄関から直接子供部屋に行けると、帰宅後すぐに自室にこもってしまう
LDKを通ることで、親子の会話が生まれる
6. まとめ:お客様に納得感を持たせる提案を
子供部屋は、単なる「居住スペース」ではなく、時間とともに変化する空間です。
お客様の希望をそのまま受け入れるのではなく、ライフスタイルの変化を考慮しながら、より柔軟な提案を行うことが求められます。
✅ この記事のポイント
お客様の心理を理解する(バンドワゴン効果・プロスペクト理論)
2つの質問を投げかける(自立派 or 巣立ち派)
子供部屋は10~15年しか使われない
将来の活用方法も考慮する
変化できる子供部屋を提案する
設置場所と動線を工夫する
この考え方をお客様に伝えることで、「建築のプロとしての信頼」が高まり、より納得感のある住宅設計が可能になります。
是非とも、このヒアリング方法と提案を実践してみてください!


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