top of page

これからの健康住宅は“睡眠”がキーワード! 工務店・建築プロが実践すべき「質の高い眠りを生み出す家づくり」とは?

  • 執筆者の写真: 純 小池
    純 小池
  • 3月11日
  • 読了時間: 4分

はじめに


近年「健康住宅」として、高気密高断熱や空気環境へのこだわりなど、さまざまな提案がなされてきました。


しかしまだ多くの工務店・建築会社が見落としている重要な要素があります。


それは「睡眠」です。


人の健康にとって、実は食事や運動以上に“質の高い睡眠”が大切と言われます。


とはいえ、睡眠の質を上げる家づくりを具体的に考えている会社は少ないのが現状です。


本記事では、「睡眠にフォーカスした家づくり」**のポイントを分かりやすく解説します。


1. どうして“睡眠の質”が家づくりで重要なのか


1-1. 日本人は世界でもトップクラスの睡眠不足


  • イギリスやフランス、アメリカなどの平均睡眠時間が8時間を超えるのに対し、日本は7時間程度


  • 現場が早朝から始まることも多い建築業界では、さらに短い睡眠時間になりがち


1-2. 睡眠不足が招く健康リスク


  • 肥満・糖尿病・高血圧などの生活習慣病


  • 認知症のリスク増


  • 肌荒れや免疫力低下


  • 子どもの発育不良や学習能力の低下


「忙しいから…」と睡眠を削る時代はもう終わり。


短い睡眠時間でも質を高めれば、健康や学習能力をしっかり支えられるのです。


2. “最高の睡眠”実現の鍵は「体温」と「脳」のコントロール


人が深い眠り(熟睡)に入るためには、


  1. 体温調整(寝る前に体温を一度上げ、ゆるやかに下げる)


  2. 脳を必要以上に活性化させない


この2点が最も重要です。


寝る前に一気に体温を上げて下げることで、初めの90分ほどの深い眠りが得やすく、“短時間でも質の高い睡眠”をもたらします。


3. 睡眠の質を高める4つのステップ


ステップ1:寝る前に“入浴”で体温を上げる


  • 入浴はシャワーのみNG、湯船で15分程度が理想


  • お風呂で体温をしっかり上げ、その後冷ますことで自然な眠気を誘発


  • 上がりたてで即ベッドに入るのではなく、体温が下がり始める90分~120分後に眠りにつくのが理想的


ステップ2:寝る前・起床時の“光”を意識する


  • 寝る前の強い光はNG


    スマホやPCのブルーライトを見続けると脳が活性化し、寝付きが悪くなる


  • 朝は明るい光を浴びる


    カーテンや窓を活かして朝日をしっかり取り込み、目覚めがスムーズに


ステップ3:寝室の“室温”をやや低めに設定


  • 15~20℃が最適と言われるが、夏場はエアコンの活用が欠かせない


  • 温めた体をしっかり冷ますことで、スムーズに深い眠りへ移行しやすい


  • エアコンをタイマーやリモコン操作で切り替え、冷えすぎ防止にも配慮


ステップ4:睡眠中の“音”に配慮


  • 浅い眠りのタイミングでの物音が、深い眠りを妨げる大きな要因


  • 寝室の上階に水回りを配置しないのが理想(排水音や入浴音を回避)


  • パイプスペースや設備の配管を寝室に隣接させないように工夫


4. 具体的な家づくりへの落とし込み


4-1. 浴室~LDK~寝室の導線を工夫


  • 浴室から直行で寝室に行くのではなく、LDKなどを経由させる


  • 入浴後の1.5~2時間は軽くくつろぎ、ゆるやかに体温を下げる仕掛け(ソファや薄暗い照明など)


  • この導線設計で**“寝る前にしっかりクールダウン”**できる空間を演出


4-2. 照明計画:夜は暗め、朝はしっかり光が入る窓


  • 寝室はブルーライト系の照明を避け、温かい色味の間接照明をメインに


  • 朝日を取り込むために、ベッドの位置と窓の高さを調整(上部窓から差し込む光で自然に目覚める)


  • 高窓や天窓などを活かして朝日をダイレクトに取り入れると◎


4-3. 音対策:排水音・生活音を最大限抑制


  • 寝室の天井上に浴室やトイレを配置しない


  • 排水管スペース(PS)は寝室から離れた位置に設置


  • 二重床や防音床材を組み合わせ、足音や衝撃音を緩和する


5. 建築プロが“睡眠重視”を提案するメリット


  1. 差別化のしやすさ


    高断熱・高気密が当たり前になった今、“睡眠”に特化した提案はまだまだ希少。顧客の関心を引きやすい。


  2. 顧客満足の向上


    単なる防音や設備ではなく、**家族全員の健康と学習能力(子ども)**を守る家づくりで強い信頼を得やすい。


  3. 関連サービス・アイテムの提案幅が広がる


    照明コントロールシステム、エアコン・換気計画など、家のトータルデザインを含めた商品化が可能。


6. まとめ:これからの健康住宅は「睡眠の質」も見逃せない


  • 睡眠不足は肥満・認知症・学習低下など深刻なリスクを伴う


  • お風呂・光・室温・音の4つのステップを踏まえ、家でこそ“最高の眠り”を実現


  • 浴室~LDK~寝室の導線、窓の位置・高さ、防音対策…など、プランニング段階から睡眠重視を意識


健康住宅の次のアプローチとして、「睡眠を科学した家づくり」は大きな可能性があります。


枕やマットレスなどの“睡眠グッズ”だけでなく、家全体で最高の睡眠をサポートする提案を打ち出すことで、他社との差別化を図りましょう。


照明制御や防音設計など、技術的なノウハウをさらに深めたい方は、オンライン・リアルセミナーを要チェック!


睡眠と健康は切っても切れない関係。より質の高い睡眠をかなえる家づくりで、お客様の暮らしを根本からサポートし、独自の強みを確立していきましょう。

 
 
 

最新記事

すべて表示
初回接客の極意!基本編~心理学と営業工学で「第一印象」を科学する~

■はじめに:初回接客は「信頼設計」の第一工程 こんにちは!Amigo小池です。 今回のPAK SYSTEMでは、 工務店における初回接客の極意・基本編 を解説します。 SNSで認知を取り、LINEで教育し、自社ファンを育て、ようやく来店。 それなのに、「会ったら期待外れだった…」という印象を与えてしまう—— これは最悪のシナリオです。 現代のお客様は「建物を買う」のではなく、「会社と人を信頼して契

 
 
 
接客空間で成約率が激変する理由!~心理学・五感設計・建築デザインの融合~

■はじめに:空間は「言葉のいらない営業ツール」 こんにちは、Amigo小池です! 今回のPAK SYSTEMでは、「接客空間がなぜ成約率を左右するのか?」を解説します。 工務店の皆さん、どんなに良い間取りを提案しても、お客様が「ここに任せたい」と感じなければ契約は取れません。 実はその“感じる”部分を生み出しているのが—— 接客空間そのもの なんです。 住宅は高級商品。だからこそ、打合せスペースも

 
 
 

コメント


bottom of page