【建築プロ向け】地鎮祭の正しい手順と注意点!お客様対応の極意とは?
- 純 小池
- 2月17日
- 読了時間: 4分
はじめに
地鎮祭(じちんさい)は、家を建てる前に土地の神様に許可を得て、安全な工事を祈願する大切な儀式です。
しかし、新しく工務店に入社した方や、他業種から転職してきた方にとっては、どんな儀式なのか、どのような流れで進むのか、分かりづらい部分が多いかもしれません。
そこで今回は、工務店のプロとして知っておくべき地鎮祭の基本知識、当日の流れ、そしてお客様への適切な説明の仕方について詳しく解説します。
これを読めば、地鎮祭についてしっかり理解できるだけでなく、お客様に自信を持って案内できるようになります。
地鎮祭の意味と目的
地鎮祭とは、「地の神様に土地を使わせていただく許可を得る儀式」です。
日本では古くから続く伝統行事で、西暦690年の『日本書紀』にも記録があります。
地鎮祭には以下のような意味があります。
土地の神様に建築の許可を得る
工事の安全を祈願する
家族の繁栄と幸福を願う
お客様によっては「宗教的な儀式だからやりたくない」と考える方もいますが、地鎮祭は宗教的な信仰というよりも「工事の安全祈願」として広く行われています。
そのため、参加を迷っているお客様には「必ずしも形式にこだわる必要はありませんが、土地への感謝と工事の安全を願う機会としておすすめです」とお伝えすると良いでしょう。
地鎮祭の流れ(12の工程)
地鎮祭には一般的に12の工程があります。神社や地域によって若干の違いはありますが、基本的な流れは以下の通りです。
修祓の儀(しゅばつのぎ):参列者をお祓いし、心身を清める。
降神の儀(こうしんのぎ):神様をお迎えする。
献饌の儀(けんせんのぎ):神様にお供え物を捧げる。
祝詞奏上(のりとそうじょう):神主が祝詞を読み上げ、工事の安全を祈願する。
四方祓い(しほうばらい):土地の四隅を清める。
鍬入れの儀(くわいれのぎ):設計者が草を刈り、施主が砂山を崩し、施工者がならす儀式。
玉串拝礼(たまぐしほうてん):玉串を神前に捧げ、参列者が拝礼する。
撤饌(てっせん):神前の供え物をさげること。
昇神(しょうじん)の儀:神籬(ひもろぎ)に降りていた神様を元の御座にお帰しする儀式
神酒拝戴 (しんしゅはいたい):神前に供えた御神酒を参列者でいただくこと
神官退下 (しんかんたいげ):神様をお送りする。
直会(なおらい):参列者でお神酒をいただき、工事の無事を願う。
お客様が実際に行う工程はの数回だけなので、「複雑そうに見えますが、お客様が参加するのは3工程のみです」と伝えると安心されます。
お客様への事前説明ポイント
① 服装について
お客様からよく質問されるのが「どんな服装で行けばいいですか?」という点です。
フォーマルすぎる必要はなく、清潔感のある服装を推奨。
男性は襟付きシャツ、女性はワンピースやブラウスがおすすめ。
真夏の炎天下では、涼しい服装を意識し、熱中症対策をする。
冬場は防寒対策をしっかりと。
② 地鎮祭の所要時間
30〜40分程度 で終了。
雑談や写真撮影がある場合は 1時間ほど かかることも。
③ 費用について
3〜5万円程度 が相場。
「玉串料」や「初穂料」として神社に支払う。
現金を封筒に入れ、地鎮祭終了後に神主さんへ手渡す。
④ 雨天時の対応
テントを用意するかどうかを事前に確認する。
神社によっては用意してくれる場合もあるが、基本的には施工会社が手配する。
⑤ 参列者の確認
高齢の方が参加する場合、椅子を用意する。
施主の親族が参列することもあるので、事前に把握する。
⑥ 「直会」について
昔は直会(なおらい)として宴席を設けることもあったが、現在では簡単な挨拶のみが一般的。
施主に「今日はありがとうございました」と一言伝えてもらう。
沈め物の扱い
地鎮祭の最後に、神主さんから「沈め物(しずめもの)」が施主に渡されます。
これは、工事前に基礎の下に埋めるもので、建物の無事を願うためのものです。
施主が保管し忘れるケースがあるので、地鎮祭当日に工務店側が預かるのがベストです。
まとめ
地鎮祭は、家づくりのスタートとして非常に重要な儀式です。
工務店のプロとして、以下のポイントを押さえておきましょう。
✅ 地鎮祭は土地の神様に許可を得る儀式
✅ 12の工程があるが、施主が行うのは3つだけ
✅ 服装や費用、所要時間を事前に説明する
✅ 沈め物は工務店が預かるのがベスト
これらをしっかりお客様に伝え、地鎮祭をスムーズに進行できるようにしましょう!


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