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「バルコニーは本当に不要?」から卒業!工務店・建築プロが提案すべき“意味あるバルコニー”活用術

  • 執筆者の写真: 純 小池
    純 小池
  • 3月11日
  • 読了時間: 5分

はじめに


近年、SNSやYouTubeなどで「バルコニーは不要」「外に洗濯物を干さないから要らない」といった情報が増え、お客様からも「バルコニーはいらないのでは?」という声が多く聞かれるようになりました。


しかし、実はバルコニーに価値を感じるお客様も確実に存在します。


本記事では、建築のプロ・工務店として「どのようにバルコニーを提案すれば、お客様に本当のメリットを感じてもらえるか?」を解説。


単なる洗濯物干しスペースにとどまらない“意味あるバルコニー”の設計ポイントをお伝えします。


1. 「バルコニー不要論」の背景と注意点


1-1. なぜ「バルコニー不要説」が広がったのか


  • 洗濯物を外に干す世帯の減少


    共働きの増加や花粉症対策、さらに洗濯乾燥機や浴室乾燥機の普及により、外干しをしなくなるケースが増えました。


  • SNSやYouTuberによる情報拡散


    「雨漏りリスクが高い」「使わなくなる」などの情報が強調され、バルコニー全体が“悪者”扱いされることも。


1-2. バルコニーで後悔したケース


  1. LDKに狭いバルコニーを付ける


    洗濯物が丸見えになり、リビングの快適性・美観を損ねる。


  2. そもそも外干ししないのに設置


    布団干しや物干しに使わない結果、単なる物置と化してしまう。


  3. 防水メンテの理解不足


    防水層のメンテナンスを怠り、雨漏りトラブルにつながるケース。


  4. 非常用窓やバルコニーが塞がれる


    3階建てなどで特に重要となる非常用進入口を荷物で塞ぎ、緊急時に機能しない。


2. バルコニーを“意味ある空間”に変える工夫


2-1. 既存のイメージからの脱却


かつてはバルコニー=「洗濯物干しスペース」の印象が強く、不要論が加速。


しかし、バルコニーは空間を広げたり、暮らしを豊かにできるスペースでもあります。


2-2. 活用法1:室内の広がりを演出


  • LDKと床レベルを合わせる


    バルコニーの床を室内とフラットに繋げ、床面が連続しているように見せる。


  • 奥行き1,350~1,820mm程度のゆとり


    900mm程度では狭すぎて洗濯物を干すと通路がなくなる。


    広めに設計し、アウトドアリビングとしての使用も可能に。


  • 視覚的効果でリビングを広く


    バルコニーに視線が抜けることでLDKが広く感じられ、限られた建物面積を有効に見せるテクニックにも。


2-3. 活用法2:ベランピング(ベランダ×キャンプ)


  • テント・チェアを置いて“アウトドア気分”


    キャンプが好きだけれど忙しくて行けない、というお客様に提案。休日に自宅で簡易キャンプが楽しめる。


  • ちょっとしたBBQも可能


    炭火が難しければホットプレートで簡易BBQなど、暮らしを豊かにする趣味空間を提供。


  • 広めバルコニーが必須


    やはり奥行き900mm程度ではテントを張れず活用しづらい。**2件分の奥行き(約1,820mm)**を確保すれば、お客様の満足度が格段に上がる。


3. 雨漏りリスクと防水メンテナンスの正しい伝え方


3-1. 「バルコニー=雨漏り」ではない


雨漏りの原因は適切な防水工事と定期メンテの不足


バルコニーが悪いのではなく、


  • FRP防水、シート防水、ウレタン防水など


  • 各防水材の耐用年数や注意点


    施工後もメンテナンス計画を提案することでリスクを大幅に低減できます。


3-2. 防水メンテと費用をセットで説明


  • 「何年後に、どの程度の費用がかかるか」を明示


  • 防水業者の定期点検やトップコート塗り替えのサイクルをお客様に伝える


    実際にお客様が「バルコニーが必要なのか?」「費用対効果に見合うのか?」を冷静に判断できるようにサポートするのが、建築プロとしての役割です。


4. バルコニーが“含まれない”床面積の魅力


4-1. 検閉率・容積率との関係


  • 1000mm以上の出幅が建築面積に算入される


    例えば「壁からの出幅が1,000mm以下なら建築面積に算入されない」など地域や法規で異なるため、要チェック。


  • 延べ床面積に含まれない特典


    用途次第で「法定の床面積にはカウントされない」ケースも多く、敷地に制限がある場合でも空間的余裕を演出できる。


4-2. 予算面を明確に、下請けとの関係も大切


  • “床面積外”でも施工費はかかる


    お客様への見積りでは「建築面積に入らない=無料ではない」点をしっかり説明。


  • 下請け業者への配慮


    “建物30坪+バルコニー分サービス”のような実態無視の安請け合いは、業者の離反や品質低下を招くリスク


  • 信頼関係の構築


    元請け・下請け双方が納得できる予算組みを行い、良い施工品質を維持することが、結果的にお客様の満足度向上にも繋がります。


5. まとめ:バルコニーは“洗濯物干し”だけじゃない


  1. 不要説が広がる一方、必要とするお客様も増えている


    洗濯物以外にも布団干し、アウトドアリビング、空間の広がりなどさまざまな価値がある。


  2. 適切なサイズや防水メンテの説明が鍵


    狭いバルコニーや防水リスクの放置は後悔を生む。十分な奥行きとメンテ計画をセットで提案。


  3. “生活を豊かにする”視点でバルコニーを設計


    お客様の趣味やライフスタイルをヒアリングし、具体的な使い方をイメージできるプランを作る。


バルコニーを「単なる洗濯物スペース」から「暮らしを楽しむ空間」に昇華させるのは、建築のプロだからこそできる提案力です。


法規制や防水などの技術的視点と、遊び心をプラスした“意味あるバルコニー”を実現し、お客様の満足度を高めていきましょう。


意味あるバルコニーの提案は、お客様の暮らしの質をワンランクアップさせる絶好のチャンスです。


ぜひ本記事を参考に、「バルコニー不要論」を覆す魅力的な設計アイデアを積極的に取り入れてみてください。

 
 
 

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